ゲームを作ったり作らなかったり

ゲームを作ったり作らなかったり。作ってる時はUE4/モデリング/レベル・サウンドデザイン等、作ってない時はインディゲーム・SteamやModの話題等。

UE4マーケットプレイスにてオリジナルと確認出来ないコンテンツが除外される

この手の話題はあまり扱いたくないのですが、今後の為に覚えておきたいので記事にする事にしました。

今日の時点でマーケットプレイスのサポートからメールが届いていて、内容は「5月の無料コンテンツに含まれていたJetpack Animation Setに完全にオリジナルな作品であるということを確認できないコンテンツが含まれていると判断した為、マーケットプレイスから取り除いた」との事です。

 

経緯

 僕の把握する限りではUE4マーケットプレイスでこういう話題は初めてだったので、まず経緯をまとめます。

UE4マーケットプレイスでは2018年11月からマーケットプレイスアセットの無料配布が行われています。

devornot.hatenablog.com

これはEpic Gamesが作成・配布しているコンテンツとは別で、マーケットプレイスに参入している出品者が作成したコンテンツの中から、出品者の提出とEpic Gamesの審査を経た上で無料で配布されているものです。

無料で配布される形式は、恒常的に無料になるもの、期間限定(1ヶ月)で無料になるものがあり、後者は毎月入れ替わる無料のアセットとして扱われています。

Jetpack Animation Setは今年5月の無料アセットの一部として扱われていたものでした。

www.unrealengine.com

(現時点で既にJetpack Animation Setは記事から除外され、代わりに無料アセットとなったDeath Animations - MoCap Packが追加されています)

このJetpack Animation Setが記事冒頭の通り、完全にオリジナルな作品と確認出来ないとの事でマーケットプレイスから除外されました。

アセットがマーケットプレイスから除外された詳しい日付は分かりませんが、恐らく数日前だと思います。

それまでの間、5月1日から2週間前後は無料アセットとして配布されていたようです。

 

僕が知っている限りでの経緯は以上です。

何故除外されたのか 

除外された理由は、サポートのメールによると

5月の無料マーケットプレイスコンテンツに含まれていたJetpack Animation Setについて、完全にオリジナルな作品であるということを確認できないコンテンツが含まれていることがわかりました。そのため、このプロダクトは Unreal Engine Marketplace Distribution agreementマーケットプレイス配信契約)に適合していない可能性があります。その結果として、公開する作品での使用に適していない恐れがあります。そのため、このプロダクトは Unreal Engine マーケットプレイスから取り除かれました。

との事です。

何かの権利を侵害しているとの表記は無く、何かを盗用した又は酷似しているとは書かれていません。

また、「~コンテンツが含まれていることがわかりました」という点を除いて「可能性がある」という書き方になっています。

コンテンツの何処がオリジナルで無いのか、という詳細については触れられていません。

除外の扱い

Jetpack Animation Setが除外されたと言うことで実際にどんな扱いになっているかと言うと、ストアページ自体は削除されておらず、新規にチェックアウト(入手)が出来ないだけの状態です。

チェックアウト済みのユーザーは未だダウンロード出来、入手済みアセットの一覧から任意で消す事は出来ません。

サポートからのメールでは、

Jetpack Animation Set はあなたのライブラリに残っていて、あなたは自分の責任において使用を続けることもできます。

との事。

アセットが強制的に使用不可になる訳ではなく、今後もユーザーの自己判断に任せるという形になっています。

不明な点

今回の件について未だ不明なのは、

Jetpack Animation Setのどの部分がオリジナルではないと判断されたのか

・オリジナルではないと判断されるにあたって関連する第三者権利物

マーケットプレイスからの除外はEpic Gamesの判断によるものなのか、それとも出品者の判断による出品取り下げなのか

・このアセットを使用したユーザーに対して予想される影響

これらの点です。

もしかしたら僕が知らないだけで既に何処かで説明されているかもしれませんが、サポートからのメールと公式サイトのニュースでは見当たりませんでした。

これらの説明されていない点については、第三者が絡むために安易に明記出来ないというのもあるかもしれません。

雑感

出品者はマーケットプレイス配信契約に則って「オリジナルでない制作物を提出しない」事に同意しています。

従ってそのようなものを提出している場合は契約に反する為、マーケットプレイスから除外されるのは当然の事でしょう。

ただ、問題となったアセットがオリジナルのものでは無いとどのようにして判断されたのかについては気になります。

制作の段階で参照した結果酷似しているというレベルなのか、それとも直接再利用しているものなのか。

出品する際の審査である程度は弾かれているとは言え、前者に関しては出品者本人でさえ判断に困る事があります。

(マーケットプレイスのフォーラムでは自分のアセットが権利的に問題無いか問うスレッドが時々立っています)

僕もマーケットプレイスの出品者であり、制作の際には第三者の権利を侵害しないように気を使っていますが、それでも全ての著作物を網羅するのは難しいです。

今回のアセットの出品者は5月の無料アセットとなる以前から当該アセットを出品していました。

(コメント欄の時期から予想すると2018年中に出品されています)

これが現在に至ってオリジナルのものではないという判断が何処からどのように出てきたのか、というのは個人的には非常に参考になります。

なので部分的でも良いので少し情報が出てくると嬉しいのですが。

最後に

今回の記事はあくまでマーケットプレイスからのアセット除外についての情報をまとめておく事が目的で、僕が特定の誰かを非難する事は意図していません。

もしこの記事が意図していない結果を生んでしまった場合はこの記事を削除するかもしれません。

 

追記

2019/05/23

Youtubeにて出品者の方がこの件について話していました。

Unreal Engine 4 (PublicService) This Is All I Will Say On The Jetpack Animations - YouTube

英語なので合っているかどうかわかりませんが、制作するにあたって他者のものを盗用したわけではないものの、Epicと話し合った結果100%そうではないと証明する事が難しい為に今回の処置に至った、という話のようです。

制作手法についても語られていて、UE4のAllright Rigプラグインを使用してアニメーションを制作したそうです。

UE4エディタ上で作られたアニメーションであるが故に、アニメーションのソースファイルや制作履歴が残らず、100%オリジナルであるという物証を提示出来なかったのかもしれません。